しらみず歯科(東京都江戸川区)は、虫歯治療・矯正・インプラント・審美・歯周病など、歯に関するあらゆるお悩みを解決します。

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歯の移植・再植とは?自家歯牙移植とは?

歯の移植・再植とは?自家歯牙移植とは?
「移植」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?腎臓移植や角膜移植など、医科で行われるものを思い浮かべる方が多いのではないのでしょうか。歯科にも同じような移植という治療があります。名前を「自家歯牙移植(じかしがいしょく)」といい、お口の中でかみ合わせに機能していない歯を移植する治療法です。歯の移植を必要とする理由は様々です。大きな虫歯や歯周病、歯が折れてしまったなど、現在の歯を何らかの理由で失ってしまうことがあります。そのような場合、ほとんどはインプラント治療やブリッジ治療など「失った部分を補う治療」を選択しなければなりません。自家歯牙移植は、それ以外の第三の方法として選べる治療方法なのです。このページでは、「歯の移植・再植、自家歯牙移植とは?」「歯の移植は保険でできるの?」「歯の移植ってどんな治療?」など、患者さんが抱きやすい疑問にお答えしてまいります。インプラントやブリッジの必要がある方も、歯の移植(自家歯牙移植)を選択肢の一つとしてご検討ください。

歯の移植の歴史

多くの方には「歯の移植(自家歯牙移植)」という言葉自体、あまり聞き慣れないかもしれません。しかし、歯の移植は実は1950~60年代から始められていた歴史のある治療法です。
当時は、大きな虫歯になってしまった奥歯に、あごの骨の中に埋まっている未完成の親知らずを移植したり、怪我などで傷ついた歯を再植したり、改善しにくい歯の根の病気を持つ歯を一旦抜いて治療してから同じ場所に植え直したり、などの治療が行われていました。さらに、他の人の健康な歯を、問題のある歯を持つ人へ移植する「他家歯牙移植」も行われていたそうです。
現代ではこの他家歯牙移植は行われていませんが、これに対する治療法として、自分の機能していない歯をドナー歯として利用する「自家歯牙移植」が行われるようになっています。
歯の移植(再植)が行われ始めたころは、科学的根拠にもとづいた治療ではありませんでした。あくまで民間療法のひとつとして実施されていたようです。このさまざまな試行錯誤を経て、1970年以降に本格的な研究が重ねられるようになりました。そしてついに、民間的な治療法ではない「歯の移植(自家歯牙移植)・再植」が、科学的・理論的に確立された治療となったのです。

歯の移植(自家歯牙移植)のメカニズム

歯の移植(自家歯牙移植)のメカニズム
赤い部分が「歯根膜」
「歯の移植(再植/自家歯牙移植)」は、一度抜歯した歯を新しい場所で機能させる治療法です。どうしてそんなことが可能になるのでしょうか。その一番のポイントは、「提供歯(ドナー歯)」の周囲に存在する歯根膜(しこんまく)です。
歯は骨の中に埋まっています。その骨と歯をつなぐ組織が「歯根膜」です。この歯根膜は、歯の根の全体を覆うように存在していて、その中には再生能力の高い細胞がたくさん含まれています。ただ、再生する必要がない状況では、この細胞は眠っているのが普通です。そこに「歯の移植(再植/自家歯牙移植)」という刺激を与えることで、再生能力を持つ細胞を活性化させるのです。その効果をねらい、「提供歯(ドナー歯)」を移植する際には、その周囲に存在する歯根膜も一緒に移植します。
活性化した細胞では、骨をつくる細胞(骨芽細胞)や、歯ぐきと骨が結合するのに必要な細胞(セメント芽細胞、線維芽細胞など)が通常の6倍以上の勢いで増殖します。この結果、歯を支える組織(歯周組織)も再生し、移植した歯と周囲の骨をつなげられるというメカニズムが働きます。
「提供歯(ドナー歯)」の周囲にある歯根膜の中の再生能力の高い細胞の存在によって、歯の移植(再植/自家歯牙移植)は実現するのです。

歯の移植(自家歯牙移植)の成功とは

歯の移植(再植/自家歯牙移植)は、ただ歯を埋め込めばいいというわけではありません。
では、「歯の移植が成功した状態」とは、どんな状態なのでしょう。成功の基準には大きく2つのポイントがあります。

歯の移植、成功基準2つのポイント

  • 歯根膜がしっかりと再生能力を発揮すること
  • 移植した歯と移植を受ける側の歯茎をしっかり合わせ、なるべく動かいないよう固定すること
歯根膜が再生能力を発揮することは非常に重要です。移植の際に提供歯(ドナー歯)周囲の歯根膜がはがれてしまうことがあるからです。そうすると、歯根膜の細胞が足りないために骨と歯がうまく結合できず、不自然にくっついて(癒着)しまいます。この状態を「アンキローシス」と呼び、あごの骨が歯根を異物と認識して体から排除しようとしてしまいます。そして、ゆっくりと歯根を溶かしていってしまうのです。まるで乳歯が抜けるようなイメージで、提供歯(ドナー歯)が抜けてしまいます。
とは言っても、歯根が溶ける速度は非常にゆっくりで、抜けてしまうまでには10年くらいかかるケースがほとんどです。移植した歯が10年機能する、という意味では成功とも考えられるのではないでしょうか。
また、移植した歯と移植する側の歯茎をしっかり合わせることや、移植した歯を周りと固定することも大変重要です。歯茎の封鎖や固定が甘い場合、歯根膜の再生能力が発揮できません。

歯の移植(自家歯牙移植)の適応は?

不要な歯をご自身のお口の中で再び活用できる「歯の移植(自家歯牙移植)」ですが、この治療法が適応される(ふさわしい)のはどのような場合なのでしょうか。
歯の移植が適応となるにはまず大前提として、抜歯の前に歯科治療で最大限の努力を払っていることが肝心です。虫歯や歯周病、歯が折れてしまったなどで、治療の努力をしたにもかかわらず抜歯せざる得ないという状態や、あるいはすでに歯を失くしてしまった場合に歯の移植(自家歯牙移植)が選択肢の候補に上がります。
その上で以下の条件を満たしている場合は、歯の移植(自家歯牙移植)の治療が適応されます。
移植に使う歯(ドナー歯)があること
移植に使う歯(ドナー歯)があること
通常は親知らずなどを使用する場合が多いでしょう。親知らずでなくても、お口の中で噛み合わせなどに関与していない、不要な歯がこのドナー歯となります。
移植する歯の歯根膜が十分にあること(歯周病にかかっていない歯であること)
移植する歯の歯根膜が十分にあること(歯周病にかかっていない歯であること)
歯の根の周りに存在する歯根膜が、移植した歯と骨をつなぐ細胞を再生します。ですから、この歯根膜がしっかりとドナー歯にあることが重要なのです。
移植する歯(ドナー歯)の根っこが単純な形(歯の根が1本など)であること
移植する歯(ドナー歯)の根っこが単純な形(歯の根が1本など)であること
歯の根の形が単純なほうが、抜歯する際に歯根膜を傷つけないためです。
歯や根っこのサイズがマッチしていること
歯や根っこのサイズがマッチしていること
ドナー歯となる歯があったとしても、移植する側・される側の歯の根のサイズが合っていない場合は、歯の移植(自家歯牙移植)が難しくなります。
歯を抜かなければならないとなった場合でも、お口の中に親知らずなどが存在していれば歯の移植(自家歯牙移植)が可能なことがあります。歯の移植(自家歯牙移植)にはその他にもさまざまな条件がありますので、どうぞお気軽にご相談ください。

歯の移植(自家歯牙移植)

メリット・デメリット

虫歯や歯周病、不慮の事故など、なんらかの理由で歯を抜かなければならなくなった場合、考えられる治療法は主に3つです。これらの治療により、歯を失った部分を補うこととなるのですが、それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあります。ご自身の歯と同じように使える歯の移植(自家歯牙移植)も含め、治療法ごとにご紹介いたします。
歯を失った時の治療法
  • ブリッジ
  • インプラント
  • 歯の移植(自家歯牙移植)
歯を失った場合にその部分を補う治療法は、取り外し式でないものとして上記の3つがあります。それぞれにはメリット・デメリットがあり、患者さんのご希望やお口の状態によって向き不向きがあります。
ブリッジ
ブリッジ
両隣の歯を土台にし、橋渡しのように人工の歯を被せる治療です。
メリット
固定式のため違和感が少なくて済む。
デメリット
両隣の歯を大きく削る必要がある。
インプラント
インプラント
人工の歯の根をあごの骨に埋め込む治療です。
メリット
インプラントは独立した状態で埋め込まれるため、周りの歯に負担をかけることが少ない。また、見た目が本物の歯に近い。
デメリット
外科処置が必要。自費治療となるため治療費が高額になりがち。
歯の移植(自家歯牙移植)のメリット
歯の移植(自家歯牙移植)のメリット
  • ・歯にかかる刺激を伝える「歯根膜」が活かされるので、食べ物の歯ざわりを感じやすい
  • ・歯根膜がクッションになるため、噛む力を和らげられ、噛み合う歯を傷つけない
  • ・ブリッジのように周囲の健康な歯を削らないので、負担をかけにくい
  • ・条件を満たせば保険を適用して治療可能
  • ・移植した後に矯正治療が可能なので、長期的に見て利点が大きい(インプラントの場合は埋め込んだ後に動かすことができません)
歯の移植(自家歯牙移植)のデメリット
歯の移植(自家歯牙移植)のデメリット
  • ・インプラントよりも技術的に難しい
  • ・親知らずなど、移植する歯(提供歯/ドナー歯)が必要である
  • ・移植をする場所の骨の幅が必要
  • ・外科手術が必要で、その外科手術を2か所の部位に行わなければならない
  • ・ご高齢の方の場合、成功率が下がる可能性がある
ご紹介した3つの治療法のうち、歯の移植(自家歯牙移植)には「歯根膜が存在する」という最大のメリットがあります。移植後の歯に歯根膜があることで、他の歯の負担にならず、食事の際に細かな触感を得ることができるのです。ちなみに、感覚を感じる最小の力は、ご自身の歯の場合1~10g前後です。これがインプラントでは、100g以上になります。また、噛み合わせた際に感知する厚みは、ご自身の歯だと25㎛。インプラントの場合55㎛以上ないと厚みを感じることができません。歯根膜の存在によって、歯やお口が食べ物などを感知する感覚に大きな違いが出てくるのです。

歯の移植が失敗する理由とは?

歯の移植(自家歯牙移植)が成り立つためには、「歯根膜の存在」が重要だとご説明いたしました(本ページ特徴4)。歯根膜がなければ、歯の移植(自家歯牙移植)が失敗に終わってしまうのです。このほかにも、歯の移植(自家歯牙移植)が失敗してしまう理由がありますので、ご紹介いたします。

歯の移植が失敗する理由

歯根膜がない、という条件のほかにも、以下の理由で歯の移植(自家歯牙移植)が失敗してしまうことがあります。
あごの骨が少ない、歯根膜の細胞が少ない
あごの骨が少ない、歯根膜の細胞が少ない
歯周病や加齢により、あごの骨がやせてしまっていたり、歯根膜の細胞が少なくなっていたりすると、歯の移植が失敗することがあります。
プラークコントロールができていない
ご自宅での歯磨きが不十分でプラークコントロールができていないと、お口の中の細菌が多い状態になってしまいます。細菌が多いと炎症が起きやすくなり、移植した歯を体が受け入れられず排除してしまう可能性があるのです。歯の移植を成功させるには、移植の前に歯周病の治療を行う、ご自宅で正しい歯磨きをする習慣を身に着けていただくなど、お口の環境を整えることが重要です。
移植後の神経の処置ができていない
移植後の神経の処置ができていない
「提供歯(ドナー歯)」の神経は、抜歯する際に一度体から切り離されます。この神経をそのままにしてしまうと壊死し、歯の根の先に感染が起こります。これが原因となり、移植の失敗につながるのです。移植を行ったら、3週間から1か月以内に神経の処置(歯の根の治療)をすることが必要です。
移植後の固定ができていない
移植後の固定ができていない
移植した後は安静にしていただき、「提供歯(ドナー歯)」とあごの骨が結合するのを待つ必要があります。お食事をしたりおしゃべりをしたりする際も、なるべく「提供歯(ドナー歯)」が動かないようにしっかり固定することが重要です。この固定ができていないと、歯を支える組織の再生がうまくいかず骨への結合ができなくなり、歯の移植の失敗につながってしまいます。移植した歯を固定する期間は人それぞれ異なりますが、目安としては1か月程度です。この期間は長すぎても短すぎてもいけません。歯の移植を失敗させないためには、適切な期間で固定を行うことが不可欠です。
提供歯(ドナー歯)の根を歯ぐきでしっかり封鎖していない
提供歯(ドナー歯)の根を歯ぐきでしっかり封鎖していない
「提供歯(ドナー歯)」と移植先の周りの歯ぐきをぴったりとくっつけておくと、歯根膜などの歯を支える組織の再生が進みやすくなります。ぴったりくっつけられない場合は再生が進みづらく、歯の移植が失敗に終わる可能性があります。

歯の移植(自家歯牙移植)にかかる費用は?保険適応?

「移植」と聞くと、高額な費用がかかるイメージをお持ちになる方がいらっしゃるかもしれません。実は、歯の移植(自家歯牙移植)は、ある条件を満たせば保険適応で治療を行うことが可能なのです。

歯の移植(自家歯牙移植)保険適応の条件

  • 提供歯(ドナー歯)が 親知らずであること
  • 移植をする治療を開始した段階で、提供歯(ドナー歯)、受給歯(レシピエント歯)がどちらも存在してサイズが合っていること
この2つの条件をクリアしていれば、健康保険を適応して歯の移植(自家歯牙移植)を受けていただけます。どなたにも適用できる条件ではありませんが、費用のご不安がある方は歯科医師に相談の上、確認してみると良いでしょう。
サイズが合っておらず、骨の増生が必要だったり、すでに抜歯を済ませてしまっているという場合は、残念ながら保険を適用できません。そうした場合には、自費治療で歯の移植を受けていただくことが可能です。当院では、100,000円(税込み110,000円)で自費治療による歯の移植(自家歯牙移植)が受けられます。

歯の移植(自家歯牙移植)にかかる費用は?保険適応?

歯の移植(自家歯牙移植)にかかる費用は?保険適応?
歯の移植(自家歯牙移植)は、自分の歯を移植する治療です。そのため、体の抵抗が起こりづらく移植後も安定しやすいという特徴があります。歯を失った場合にそこを補う方法として、インプラントにも並ぶ有効的な治療法なのです。
しかし、歯の移植(自家歯牙移植)は外科手術をともなう治療ですから、実際に移植した歯の寿命や生存率など、どれだけ長持ちするかについて心配なさる方も多いでしょう。たしかに移植した後は、ご自身の健康な歯と同じくらいの頻度ですが、小さなトラブルが起こる可能性は否めません。 しかし、「移植した歯が抜け落ちない」「移植した場所にしっかりと留まっている」という観点でいえば、歯の移植(自家歯牙移植)の5年生存率は90%(Tsukiboshi M, 2002)です。インプラントの5年生存率は95 % (Fugazzotto et al, 2004)ですので、インプラントと同等の生存率だと考えていただきやすいでしょう。当院では平成23年~令和元年までで67症例の歯の移植を行っており、生存率は94%です。
インプラントと歯の移植(自家歯牙移植)を10年単位で比べた場合、10年以上の長期的視点でお考えになるのであれば、インプラントのほうがより高い生存率で寿命が長いとデータからもわかります。ただ当院では、いきなりインプラント治療をご選択いただくよりは、歯の移植(自家歯牙移植)のほうが、失った歯を補う治療の第一の選択肢としてより良いのではと考えております。それは精神的負担を軽減できたり、ご自身の歯と同じように噛めたりなど、患者さまにとってメリットが大きいからです。

移植(自家歯牙移植)のタイミング・方法は?

歯の移植(自家歯牙移植)を行うタイミングや治療方法は、大きく3つに分けることができます。
1
抜歯窩(ばっしか/歯を抜いた直後の穴)への歯の移植
2
抜歯して2週間~1か月以内の歯の移植
3
かなり前に抜歯した場所への歯の移植
これらが歯の移植(自家歯牙移植)を行うタイミング・治療方法ですが、どれを選択するかはお口の中の状況によって異なります。それぞれのメリット・デメリットについて、ご説明いたしましょう。
1
抜歯窩(ばっしか/歯を抜いた直後の穴)への歯の移植
抜歯窩(ばっしか/歯を抜いた直後の穴)への歯の移植
メリット
  • ・抜歯直後の歯を抜いた穴の周囲にはまだ歯根膜が存在しており、周囲の骨が痩せない状況で移植が可能
  • ・抜歯した穴があるので、移植する歯を入れるために骨を削る量が最小限で済む
  • ・治療期間が短く済む
デメリット
  • ・感染が残る可能性や、移植した歯に炎症がおこる可能性がある
  • ・移植の時の治療時間が長くなる
  • ※抜歯が必要な歯の感染が酷い場合は、この方法の適応となりません。
2
抜歯して2週間~1か月以内の歯の移植
メリット
  • ・抜歯して2週間以上経てば、感染が残っている可能性を最小限にできる
  • ・抜歯してあまり時間が経っていないので、周囲の骨の痩せ具合が最小限な状態で移植が可能
  • ・抜歯した穴はほとんどそのままなので、移植する歯が入るように骨を削る量が最小限で済む
  • ・移植の治療時間が短く済む
デメリット
  • ・受容側(抜いた穴)の周囲の歯根膜が存在しないため、傷の治りがやや遅い
  • ・外科処置が2回必要
3
かなり前に抜歯した場所への歯の移植
メリット
  • ・感染が残っている可能性がほとんどない
デメリット
  • ・移植する歯を入れるための穴がないため、新しく掘る必要があり、移植の治療時間が長くなる
  • ・抜歯して1か月以上経っていると抜歯した周囲の骨が痩せてしまうため、移植する歯の受け皿として不十分になることがある
  • ・受容側(抜いた穴)の周囲の歯根膜が存在せず、傷の治りがやや遅い
  • ・痛みや腫れが大きい
移植(自家歯牙移植)のタイミング・方法は?
歯の移植(自家歯牙移植)では上記の「1.抜歯窩(抜歯直後)への歯の移植」のように、歯を抜くタイミングと、移植するタイミングは同時に行うのが治癒の面から見ても有利です。移植する場所に歯根膜が存在した方が、再生能力が強く、歯と骨をつなぐ組織の再生が有利に進むからです。しかし、お口の中の状態によっては誰もがその限りではないため、お口の中の状況を把握して歯の移植(自家歯牙移植)のタイミングを選択しています。

移植(自家歯牙移植)の期間、治療の流れ

次に、歯の移植(自家歯牙移植)をする際の治療の流れと治療期間についてご説明いたします。

移植(自家歯牙移植)治療の流れ

01
歯の移植が可能かどうかの検査とカウンセリングを実施
  • ・お口の中の検査と写真撮影、歯周病の検査、レントゲン及びCT撮影など
  • ・上記の検査をもとにカウンセリング(30分程度)
  • ※必要に応じて、移植する歯の抜歯を簡単にするための部分矯正を行います。
02
移植日当日(60~90分程度)
  • 1.移植歯の脱臼
  • 2.移植する場所の準備(保存不可能な歯の抜歯、移植する歯の形に合うようにソケットを形成、歯肉の形成)
  • 3.移植歯の挿入
  • 4.移植歯の固定や歯ぐきの縫合
03
術後の処置の流れ
  • 術後の処置の流れ
  • 1.手術から1~3日以内に消毒(15分程度)
  • 2.手術から1~2週間以内に抜糸(15分程度)
  • 3.移植から3〜4週間後に、移植した歯の神経の治療(45分の処置を2~3回)
  • 4.移植から2~3か月後に仮歯を装着。普通に噛めるかどうかのリハビリを行う
  • 5.移植から3~6か月以上経過後に、最終的な被せ物を作製
移植当日から、術後の処置の流れをふまえると、歯の移植(自家歯牙移植)の治療期間は、約3か月から6か月くらいとお考えいただくのが良いでしょう。

歯の固定期間について

歯の固定期間について
当院では、上記「治療の流れ」の手順3~5の間にあたる、歯の移植(自家歯牙移植)を行った直後から、固定期間を設けています。その期間は目安として1か月ですが、実際はケースバイケースで、あまり長く固定しすぎると、骨と歯が不自然にくっついてしまう(癒着)可能性もあります。そのため、移植後の傷の状況をしっかりと把握し、患者さまごとに固定期間を定めることが大切なのです。

歯の移植(自家歯牙移植)の痛み

歯の移植(自家歯牙移植)の痛み
歯の移植(自家歯牙移植)の治療を行う際は麻酔をかけます。そのため痛みを感じることはありませんが、外科処置であるために、術後に痛みや腫れが多少あるかもしれません。また、「かなり前に抜歯した場所への歯の移植」を行った場合は、移植する場所を確保するために、骨を削る必要があります。すると痛みが大きくなってしまう可能性もありますので、その場合は痛み止めを飲んでいただき、痛みをやわらげることが多いです。